前年のぼろぼろになったアメリカ・ツアーの後、またしてもメンバーチェンジがあり、ロニーまでもがバンドを去ってしまいます。
またもやメンバーを探す羽目になったリッチーですが、キーボーディストはわりあい早くから、コージーからの紹介でドン・エイリーに決まっていたようです。「メンバーになってからまず1年間のオフをとってもらった」という話も聞きます。
メンバーも揃わぬうちにニュー・アルバムのレコーディングが開始されます。この時ベースをやっていたのは、もとジェフ・ベック・グループのクライヴ・チェアマンでしたが、やはり rainbowには合わなかったようで、1週間しかいなかったそうです。リッチーとコージーの衝突もあり ( 食べ物のことでモメたとか…(^^;) )、煮つまっていた感のあるレコーディングにプロデューサーとして呼ばれたロジャー・グローヴァーは、結局そのままメンバーとして、ベースもプレイすることになります。
最後まで決まらなかったヴォーカルも、オーストラリアにいたグラハム・ボネットを引っぱり出してきたことで一応解決し ( 一時はイアン・ギランにも声をかけたようですが…… ) 、次のラインナップで完成したニュー・アルバム" down to earth"をひっさげ、1979年9月2日よりアメリカ・ツアーを開始します。
このアメリカツアーは、 blue oyster cultのサポートとして行なわれ、前年のツアーよりは良い雰囲気で進んでいったようです。しかし、コージーはこの頃にはすでに rainbow脱退の意思を固めていたと思われます。オフィシャルのライヴ音源は、ありません。
 BON 027 1-6 : chicago 7.8 : |
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前年に続いてサポートで回ったツアーということで、曲数の少なめなセットリストになっています。これは、10月12日のシカゴで行なわれたライヴを、サウンドボードで収録した音源です。ラジオ放送用に録音されたと伝えられていますが、エア・チェックのためか、それほど聴きやすいものではありません。バランスはまあまあ、安心して聴けるものとなっています。
この頃のライヴのオープニングは、ロニーの頃や、この後のジョーの頃と若干違っています。
まず"10,9,8…"と、カウントダウンがあった後、発射音が響き、その余韻の中からドロシーの声がきこえてきます。" over the rainbow"のテーマの演奏は無く、" eyes of the world"のイントロである、ホルストの「火星」が流れてスタート、というものです。" over the rainbow"は、本編中に、" since you been gone"の後奏などで演奏されています。この日は、" since you been gone"はやらなかったか、カットされているようで、" over the rainbow"は" all night long"のイントロで聴くことが出来ます。
この日のグラハムのヴォーカルは、普段と節回しが違っていて面白いです。ラストではギター・クラッシュもあります。
7,8曲目は、ボーナストラックとなっています。年があけたヨーロッパ・ツアーから、フランスのライヴを収録したものです。まあまあのオーディエンス録音ですが、6曲目までに比べて明らかに2ランクは落ちる音質です。この日のコンプリートも、たしか出回っていたと思います。ここでは、この日しか聴けない" makin' love"をプレイしているのがポイントです。
 RACD-111179 long beach |
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10月26日でブルー・オイスター・カルトとのアメリカ・ツアーの日程は一応終わることになっていました。11月にはドイツを中心としたツアーが予定されていましたが、アメリカ・ツアーをヘッド・ライナーとしてもう少し続けることになったため、延期されています。この音源は、その再開されたアメリカ・ツアーから、11月11日にロング・ビーチ・アリーナで行われたコンサートを収録しています。
いくつかの会場でレコーディングされた放送用音源が出回っているこのツアーでは、オーディエンス録音のこの音源はあまり存在感はありません。とはいえ、なかなかバランスの良い録音です。若干定位が片寄る部分もありますが、後半にいくにしたがって良くなってきます。グラハムの調子は、あまり良くないですが……
 BON 155 fresno |
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これは" #9"の2日後、11月13日にカリフォルニアは fresnoで行われたステージを、オーディエンス録音で収録しています。ギターとヴォーカルが大きめのバランスですが、他の楽器もそれほど聴きづらいわけでもなく、濁りのないクリアな音質ということもあり、なかなか聴きやすい音源です。
演奏は素晴しいの一言です。グラハムの調子もこの日は悪くなく安心して聴くことが出来ます。現在聴くことが出来るこのツアーの音源のなかでは、私は一番気に入っている演奏です。ですが、コージーの「バンド内はバラバラだった」という発言を念頭において聴くと、たしかにバンドの演奏というよりも、各人の素晴しいプレイに寄りかかった演奏にも思えてきます。" love's no friend"でのエンディングなど、リッチーとグラハムのあいだには明らかに意志の疎通が感じられません。
 SS 99002 denver |
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1999年末にリリースされた、11月16日に行われたデンバー公演を収録したサウンドボード音源です。このツアーは今までに2種類、シカゴ公演とニューヨーク公演がサウンドボードで出回っています。" rainbow rising"によれば、これらはすべて、ラジオ放送用の録音だったとされています。このデンバー公演はやや高域が強調されているきらいはありますが、今まで出回っていたシカゴ、ニューヨークとは2ランクは違う音質で楽しむことが出来ます。この音源だけ" FM broadcast"の文字がみえますが、他の2公演はAMソースってことになるのかもしれません。
内容はどうかというと、グラハムの調子がよく、かなり楽しめるものとなっています。曲間などに若干カットの雰囲気がただよっているものの、コンサート全曲を収録しており、現在のところ、このアメリカツアーの音源ではお薦めと言えるでしょう。
ジャケットには1980年のツアーパンフ表紙を使用しています。CDをおさめるケース側に使用されているモノクロ写真だけがちょいとお粗末。なぜか再結成 deep purpleの1984年オーストラリア・ツアーから、シドニー、もしくはキャンベラのショットが使われとります。なんで虹のCDにパープルを使うかな(笑)
 BON 010 new york |
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 gryphon-011 new york |
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この年の音源の中では、一番多くの形で出回っているものです。アナログ時代から有名だったもので、放送用音源のため音質もよく、ここにあげたほかにも数種類出回っています。音質的に優れているのは、" roger's birthday party final cut"か、" roger's birthday party"のアップグレード盤、" perfect roger's birthday party"でしょう。どちらを採るかは、その人の好みになると思いますが、" final cut"の方は、プレスミスがある盤があるので、特に中古を探すときは要注意です。
アメリカ・ツアー終盤の、11月30日のニューヨーク公演を収録しています。この日はロジャー・グローヴァーの誕生日でもあり、" all night long"では、 birthday songが聴けます。グラハムの調子がひどく、この日ははずす個所が多いような気がします。
年があけてからは、ヨーロッパを回り、5月には日本にやってきます。