プフィッツナーの残したベートーヴェン録音の一つです。私が聴いた盤はPreiserレーベルからのリリースで、かなり良好な復刻で聴く事が出来、スクラッチ・ノイズなども一部をのぞけばそれほど気になりません。NAXOSからも第八番とのカップリングでリリースされています。第一楽章の堂々とした演奏は素晴しいの一言。こまかいテンポの動かし方、フレーズの歌い方はやはり作曲家ならではの部分ということになるのでしょうか。重々しく始まり、華麗に展開する第二楽章、心地よいテンポで進む第三楽章、幾分かのユーモアを含みながら提示される主題が、次第に堂々と展開していくフィナーレと、一気に聴かせてくれる演奏です。プフィッツナーがドイツの精神、文化の継承者として高く評価されていた頃の録音で、そうした評価を体現した演奏といっていいと思います。